捺火削がん

まず、ココロのスキマにスイッチを設置します

食品に軽率にグリーンピースを入れるな、大馬鹿野郎

食品にグリーンピース。何故――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロローグ「或る日の事」

「腹減ったなぁ、昼飯を喰らうか」

 夏日は(Twitter で)そう呟くと、徐に立ち上がり、階段を一段飛ばしで下り、一階のキッチンへと向かった。冷蔵庫を覗く。冷凍室にチャーハンがある。これだ。今日の昼食はこれにしよう。

 冷凍チャーハン。コーンフレークに次いで「煩悩の塊」と呼ばれるに相応しい、思考停止が極まったような食事。彼の家には、生協のおかげで、冷凍庫を見ればいつでも何かしらのチャーハンが置いてあった。

 このチャーハンもその一つ。どうやら、肉が多めに入っているらしい。普通に美味しそうだ。そう思いながら、夏日はその冷凍チャーハンを取り出した。

 どうやら、初めて食べる種類のものらしい。これは楽しみだ。「何が『こちら側のどこからでも切れます』だ、大嘘じゃあないか、クソが」と心の中で怒鳴り散らしながら、鋏で袋を切り、皿に盛る。袋を捨てる。

「おや――」

 その時、夏日は、自分の周囲に何やら不穏な気配が漂っているのを感じ取った。それは、紛れもなく、目の前にあるその、未解凍冷凍チャーハンから生じているものだった。

 そして、その正体は、ほどなくして姿を現した。

「やはりお前だったか……」

 激しい悔恨の念に苛まれながら、夏日は呟いた。

 今度の呟きは、Twitter のそれではなかった。

グリーンピース……ッ!

 レンジでの調理秒数が袋の裏面に記されていたことを思い出し、ゴミ箱からそれを取り出しながら叫ぶその声は、地球の核にまで届いてしまうほどに力強く、まさに魂の叫びと形容するに足るものだった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本題

食べ物に不要なグリーンピースを入れるのが本当に、マジで、本気で許せない。

 

 

グリーンピースそのものが不味いと言っているわけでは断じてない。

しかし、グリーンピースが上に乗っていたりあるいは散りばめられていたりする料理において、グリーンピースがその美味しさをより一層引き立てている、といったような事例には全く以ってマジでガチで本気で全然ただの一度たりとも遭遇したことがないのである。

 

ミスマッチ。そう、ミスマッチ。グリーンピースと、それを何故か上に乗せられてしまっている料理とが生み出しているものは、相乗効果などといったものではもちろんなく、アナジー的なものも優に通り越して、完全に 負の概念 となってしまっているのである。

 

例えば先ほど言及した、冷凍チャーハン。

一般的なチャーハンの具に関しては非常に美味しい。冷凍チャーハンなのに美味しい。米に関していえば「まあ、冷凍」といった感じではあるが、肉がとても良い。まず、量が多いし、冷凍なのにとても柔らかいし、一欠片口に入るだけでも非常に心地が良い。冷凍食品であることを考慮せずとも、非常に質の高いものだと思う。

しかし。

ただしグリーンピース テメーはダメだ

漫画「ボボボーボ・ボーボボ」にもこのようなセリフがあることから分かるように、食品へのグリーンピース混入は日本中で(実際には世界中とも言われているが)非常に忌み嫌われている。

実際、例の冷凍チャーハンにおいても、柔らかなミニ肉塊とともに、なんとなく硬い、コリコリとした、それでいて独特の風味で存在感を放っていたのがグリーンピースであった。せっかくの高品質チャーハンが、皿中を埋め尽くすグリーンピースのクソデカ大声で台無しである。大して能力もなくて目立てない質の癖に自己顕示欲だけは異様に高く、皆が努力して作り上げたものを一瞬にしてぶち壊してしまう。完全に、悪いオタク、害悪オタク、厄介オタクの構図である。そう、グリーンピースとは、厄介オタクなのである。

先ほど冷凍チャーハンのことを「コーンフレークに次ぐレベルの煩悩の塊」と評したが、それは、冷凍チャーハンが「謎のマンネリ感」を有した食品であることも同時に意味する。美味しいのに、終盤は若干苦行。そういう、コメダ珈琲店のメニューみたいな「デカさ」というか、シロノワールを一人で完食するときのような感覚を与え得る「何か」を、大してデカくもないのに持ち合わせているのが、冷凍チャーハンというものなのである。

だから、その変な感じを解消すべく、「アクセント」的なものを入れよう、となるところまでは理解できる。

しかし、それは絶対にグリーンピースではない。

グリーンピースは絶対に違う。本当に違う。マジで違う。どのくらい違うかというと、アメコミとアメニティくらい違う。

本当に絶望的にチャーハンに合っていない。チャーハンをカルピスウォーターで流し込んだ方が五千倍マシなくらいに、合っていない。我々が求めていたのは、米料理特有のネチョネチョ感を解消できるようなものであって、決して、あまりにも主張が強すぎて感覚の全てを掻っ攫っていく厄介系パサパサカリカリお豆ではなかったはずだ。

「これで『アクセント』だ? 笑わせるな。」と言いたくなる。こんなのは「」だ。我々消費者は、無実の罪に対する罰を与えられている。そろそろ、万国の消費者が団結すべき時かもしれない。

兎にも角にも、冷凍食品にアクセントとしてのグリーンピースを加えるなどという愚行を働いた者は今すぐその罪を償うべきであるし、可能であればグリーンピースを排除してほしい。

 

 

え? 「グリーンピースなんて普通に箸で取り除けばいいじゃないか」って?

 

 

 

ちゃんと満遍なくバラバラに配置してあるんだよ!!!!!!

 

 

 

こういうところでばかり本気を出してもらっては困る。今度は、本気でグリーンピースの排除に取り組んで頂きたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

悲しいことに、世の中には、本来グリーンピースと合うはずがないのにも拘らず、食品加工会社乃至料理店乃至ファミレスチェーン店の圧力によってグリーンピースと強制的にタッグを組まされ、その醜態を客に晒している哀れな料理たちが多く存在する。

 

カツ丼、親子丼、天津飯、茶碗蒸し、焼売……

 

「単体がベスト」な料理ばかりだ。ドンブリもののグリーンピースはフニャフニャなんだかカリカリなんだかよく分からなくて非常に気持ち悪そうだし(天津飯も同様)、茶碗蒸し・焼売に至っては意味不明である。

 

「あっ、ここスペース空いてるし面白そうだからグリーンピース入れたろw」

 

みたいなことを言ってグリーンピースを乗せやがった人間の顔が、見たこともないのに鮮明に脳内再生される。オタク。悪いオタクの思考。こういうことをやりやがるのはいつもダルいオタクなのである。オタクはこういうことをやるから本当に良くない。

 

 

 

オタクの皆さん、食品に軽率にグリーンピースを入れるような悪いオタクにならないように、一緒に頑張っていきましょうね!